形成外科コラム

熱傷患者の症例(保存療法)

2024年10月03日

今回はⅡ度熱傷患者の症例をご紹介させていただきます。

60代女性です。
6日前に右手背を熱傷し、ゲーベンクリームを塗っても改善しないため受診されました。
右手背中央に水泡があり、母指側には破れた水泡の痕があります。
手背全体発赤がありました。
ゲンタシン軟膏を塗布し、毎日自宅でガーゼ交換をしてもらいました。

内服は抗生剤(クラビット)と、創傷治癒を促すために漢方薬(柴苓湯)を内服しました。
柴苓湯は傷のむくみや腫れを抑えます。

また、サプリメントでプロテイン、低分子コラーゲン、ビタミンC+Dを摂取していただきました。
タンパク質は新しい細胞や組織を作るのに欠かせません。
ビタミンCは線維芽細胞の働きを高め、傷の治りを促進し、色素沈着を抑制する効果があります。
活性酸素を除去し炎症を抑える効果もあります。

1週間後
経過は良好で炎症は落ち着いてきました。

4週間後
傷は治癒しガーゼ交換を終了しました。
皮膚保護のためにワセリンを塗布しています。
ビタミンC+D、低分子コラーゲンは隔日内服で継続しています。
治ったばかりの皮膚は脆弱であり、周囲の皮膚よりも紫外線を吸収しやすくなり、色素沈着を起こしやすくなります。
そのため日焼け防止を指導しています。

8週間後
傷跡はほとんど分からない状態まで回復しています。

 

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